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ロックの部屋

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加藤和彦

加藤和彦『L’opera Fragile』(うたかたのオペラ)



加藤和彦の名作三部作が最近リマスター、紙ジャケット化されていたのを今日、音楽関係のページをネット検索していて偶然知りました。

いやー、このアルバムも当時良く聴いていました。1980年ですか、もう24年も経ってしまいました。いやんなっちゃいます。

でも、色々とレヴューとか読んでみると何か様子が違います。リマスターと言っても音源がオリジナルの物でないばかりか、曲の一部がカットされていたり、佐藤奈々子さんのバックヴォーカルがカットされていたりでひどい物らしい。私が持っているのはオリジナル音源のアナログ盤ですが、今もアナログプレイヤーは現役で使用出来ているので、楽しめるのですがCD化によってオリジナルリマスター音源を期待していた人にとっては期待を裏切ったみたいですね。

と言っても久しぶりに聴いてみたくなって聴いたのですが、良いです。このアルバムは当時デヴィッド・ボウイのベルリン三部作にも影響を受けて、ベルリンでレコーディングされたものです。

けして上手くはない加藤和彦さんのヴォーカルですが、ちょっとビブラートがかった声が不思議な魅力です。サウンドはフランスあたりのヨーロッパ志向でとてもお洒落、このセンスは当時の日本のポップス・ロックシーンでは最先端のものでした。今聴いても不思議な魅力があります。バックのミュージシャンもYMOや矢野顕子等で固めています。

改めて聴いてみて「ケスラー博士の忙しい週末」などでスカ・ビートを導入しているのには驚いた。前年の1979年に登場した【マッドネス】や【スペシャルズ】などのブリティッシュ・スカ・ビートをしっかりとサポートしていますね。

《ケスラー博士の忙しい週末》
♪葉巻をくゆらせて
 ラテン語の詩を読み
 やがて夜が来ると
 バラを胸にさして
 女と踊る Moulin rouge
 女と飲む Champpagne

 パイプを磨きながら
 ひとり言 つぶやき
 この世は 夢かうつつ
 その目を細めれば
 女はまるで Chinese cat
 女は飛ぶ Camel

 Doctor Kesseler’s Weekend
 人生を語りつつ
 Every Saturday night♪

「パリはもう誰も愛さない」や「ラジオ・キャバレー」「絹のシャツを着た女」などで聴こえるストリングスやトランペット、アコーディオンはクレジットを見る限りシンセサイザープログラミングによって作られた物のようだけど、これが本物そっくりの音、とてもシンセとは思えません。雰囲気バッチリです。

佐藤奈々子さんの声が入っているのは4曲程あります。とてもいい色を出しているので、これがないと味気ないと想像できます。

[うたかた]はかなく消えやすいもの、消えていく人。これは切ないオペラ。人生を語るにはこんな『うたかたのオペラ』もいいかもしれない。


                       (2004-10-31記)


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